相続手続きに必要な書類 ── 何を、どこで、どうやって集めるか

■ はじめに

相続の手続きを進めようとすると、
「こんなにたくさん書類がいるの?」と
驚かれる方がほとんどです。

不動産の登記にも、
預貯金の解約にも、
保険金の請求にも、
それぞれ書類が必要になります。

しかも、手続き先によって
求められる書類が微妙に違ったりする。

このページでは、
相続手続きで必要になる書類を整理して、
どこで取れるのか、
どんなことに気をつければいいのかを
まとめました。

すべてを一度に集める必要はありません。
「こういうものが必要になるんだな」と
全体像をつかんでいただければ十分です。

■ ほぼすべての手続きで必要になる書類

まず、どの手続きでもほぼ共通して
求められる書類があります。

【1. 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本】

相続手続きの基本中の基本です。

亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの
すべての戸籍を集めることで、
法律上の相続人が誰なのかを証明します。

婚姻、転籍、改製などで
戸籍が何通にもわたることが多く、
集めるのに一番手間がかかる書類です。

取得場所:本籍地の市区町村役場
※2024年3月から「広域交付」制度が始まり、
最寄りの市区町村窓口でも
取り寄せられるようになりました。
(直系の方の戸籍に限ります)

注意点:
亡くなった直後は、まだ死亡の記載が
戸籍に反映されていないことがあります。
死亡届の提出後、数日〜数週間ほど
時間をおいてから請求してください。

【2. 相続人全員の現在の戸籍謄本】

相続人がそれぞれ今も生存していることを
証明するために必要です。

取得場所:各相続人の本籍地の市区町村役場

【3. 相続人の印鑑証明書】

遺産分割協議書に実印を押す場合に必要です。
金融機関の手続きでも求められることがあります。

取得場所:各相続人の住所地の市区町村役場

有効期限:
法律上の有効期限はありませんが、
金融機関によっては
「発行後3か月以内」や「6か月以内」と
指定されることがあります。

【4. 遺産分割協議書】

遺言書がない場合や、
法定相続分と異なる割合で相続する場合に、
相続人全員で話し合った結果をまとめた書類です。
相続人全員が署名し、実印を押印します。

不動産の登記だけでなく、
預貯金の解約や有価証券の名義変更など、
あらゆる相続手続きで必要になる大切な書類です。

遺言書がある場合や、
法定相続分どおりに相続する場合には、
遺産分割協議書を作成せずに手続きを進めます。

■ 不動産の相続登記で必要な書類

不動産の名義変更(相続登記)には、
上記の共通書類に加えて、
以下が必要になります。

【亡くなった方の住民票の除票】
亡くなった方の最後の住所を証明する書類です。

取得場所:亡くなった方の最後の住所地の市区町村役場

注意点:
保存期間は5年間です。
亡くなってから時間が経っている場合は、
すでに廃棄されていることもあります。
取得できなかった場合は代替の方法がありますので、
取れなくても心配はいりません。

【不動産を取得する方の住民票】
新しく名義人になる方の住所を証明するために必要です。

取得場所:住所地の市区町村役場

【固定資産評価証明書】
不動産の評価額を確認するための書類です。
登録免許税の計算に使います。

取得場所:不動産が所在する市区町村役場
(東京23区の場合は都税事務所)

注意点:
年度が切り替わると(毎年4月)、
新しい年度の証明書が必要になることがあります。

■ 預貯金の解約・名義変更で必要な書類

金融機関によって多少異なりますが、
一般的に以下の書類が求められます。

・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書(または遺言書)
・相続人全員の印鑑証明書
・金融機関所定の届出書

金融機関ごとに書式が異なるため、
事前に窓口やホームページで
必要書類を確認しておくとスムーズです。

なお、金融機関の預貯金の
相続による解約手続きは、
司法書士に委任することもできます。

「平日に銀行に行く時間がない」
「金融機関がたくさんあって大変」
「金融機関が探しきれない」
という場合は、ご相談ください。

なお、複数の金融機関で手続きする場合は、
「法定相続情報証明制度」を利用すると、
戸籍の束を何度も提出する手間を
省くことができます。

→ 法定相続情報証明制度について(近日公開)

■ 書類の集め方のコツ

【まずは亡くなった当時の戸籍から】
すべての手続きの出発点は、
亡くなった方の死亡が記載された戸籍です。
ここから出生に向かって遡っていくのが基本です。

【届いている郵便物を確認する】
固定資産税の納税通知書、
金融機関からのお知らせ、
証券会社からの明細など、
届いている郵便物が
手続き先を把握する手がかりになります。

【コピーを多めに取っておく】
戸籍謄本や印鑑証明書は、
手続き先で原本を提出して
返してもらえる場合もありますが、
時間がかかることがあります。
余裕があれば、多めに取得しておくと安心です。

【有効期限に注意】
印鑑証明書は、手続き先によって
「発行後○か月以内」と指定されることがあります。
早く取りすぎると期限切れになることもあるので、
手続きのタイミングに合わせて取得してください。

■ おわりに

書類の収集は、
相続手続きのなかでも
特に手間がかかる部分です。

本籍地が遠方にあったり、
古い戸籍が読みにくかったり、
何をどこで取ればいいかわからなかったり。

「自分で全部やるのは大変そうだな」
と思われたら、
どうぞ司法書士にご相談ください。

戸籍の収集から、
法定相続情報一覧図の作成、
不動産の登記申請だけでなく、
銀行口座の残高確認や
解約・払い戻しの手続きも
司法書士に委任することができます。

口座の状況を先に把握しておくと、
そのまま遺産分割協議に反映できるので、
手続き全体がスムーズに進みます。

「登記だけでなく、
銀行の手続きもまとめてお願いしたい」

そんなご依頼も、もちろん大歓迎です。
まとめてお任せいただくことで、
何度も書類を集め直す手間がなくなり、
ご負担をぐっと減らすことができます。

翔栄法務司法書士事務所
TEL:03-5452-0885

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