“あなたのための成年後見制度” その手続きから利点まで司法書士が詳しく解説

この記事は、成年後見制度の手続きや、制度をどんな方が利用すると良いのか、利点はどんな点なのか、を司法書士が解説しています。

  • 成年後見制度 がどういうものかお考えの方
  • そろそろ成年後見が必要かなと思っている方
  • 手続き上、成年後見の手続きを勧められた方

これらの方に、読んでほしい記事です。

実例を紹介

説明の前に、制度を活用したケースを紹介します。

お金の管理:成年後見制度を使う前は

だんだんお金の計算や管理が苦手になってきたようで、役所や銀行などで手続きを行う時に不安になってきた。

大きなお金を動かしたいので、銀行から成年後見をつけるように勧められた。ある日突然病気で倒れてしまったが、お金が出せない。

お金の管理:成年後見制度を使うと

成年後見人等が私の代わりに、銀行で手続をしてくれた。これからの生活は成年後見人等がサポートしてくれるので安心だ。

施設選びの判断:成年後見制度を使う前は

同じものを買ってしまうことが増えているようだ。このまま一人暮らしを続けていいものか、ホームに入所したほうがいいのか。ただ手続きなどよくわからず、とてもひとりでは決められない。

施設選びの判断:成年後見制度を使うと

成年後見人が相談にのってくれた。役所を地域の適切なサポートを選んでもらえたので、しばらくは今までどおり自分の家で生活を続けることができそう。

高齢化と悪質業者:成年後見制度を使う前は

悪質業者からの電話があり、騙されそうになった。最近物忘れも増えてきたのと耳が遠いので今後騙されないのか心配になった。

高齢化と悪質業者:成年後見制度を使うと

たとえ、だまされて契約してしまっても、成年後見人等がその契約を取り消してくれるというので、安心できる。

自分で指名:成年後見制度を使う前は

将来自分が認知症になったとき、誰が支えてくれるのかが不安。今のうちに信頼して安心してお願いする人を決めておきたい。

自分で指名:成年後見制度を使うと

息子が任意後見人になってくれた。息子が私をサポートしてくれることになったので心強い。息子も今から気にしてくれるようになり、安心できた。

※成年後見人等とは、補助人、保佐入、成年後見人のことをいいます。詳しくは「成年後見制度について」へ

2.成年後見人等の仕事について

成年後見人等は、次のようなことを行います。

(1)成年後見人等として何をするか、計画を立てます。

まず、ご本人がどのような生活をしているか、どのくらい財産を持っているか調べてご本人に合った生活のしかたやお金をどう使っていくかなどを考えます。

(2)ご本人の希望などを聞いて、必要な手饒を行います。

ご本人の思いや生活のようすを考えて、必要な福祉サービスを道んだり、年金を受け取るために必要な手続を行ったりします。

(3)お金のトラブルからこ‘本人を守ります。

ご本人が、悪質業者にだまされて、必要のないものを買わされるなどのトラブルに巻き込まれた場合にはその契約を取り消すことができます。

(4)ご本人の生活のようすを家庭裁判所に報告します。

ご本人の健康状態や暮らしぶり、お金や土地がどのくらいあるかについて家庭裁判所に定期的に報告します。成年後見人が、間違いなく本人のために財産の管理や代理ができているか家庭裁判所が見守ってくれます。

3.成年後見制度について

成年後見制度とは

認知症、知的障害、精神障害、発達障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方(ここでは「ご本人」といいます。)について、ご本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、ご本人を法律的に支援する制度です。

Q>成年後見制度にはどのような種類がありますか?

A.任意後見制度と法定後見制度があります。

1.任意後見制度

ご本人に十分な判断能力があるうちに判断能力が低下した場合に,,あらかじめ元気なうちに、ご本人自らが選んだ人に後見人に代わりにもしてもらいたいことを契約に後見契約で決めておく制度です。

任意後見契約は公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされていますので、その手続きは費用については利用する公証役場に確認します。

公証人役場には特に管轄はないので、便利なところを選んでください。

ご本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所で任意後見人が選任されて初めてに後見契約の効力は生じます。この手続きを申し立てることができるのはご本人やその配偶者 4親等内のご親族、任意後見受任者です。

任意後見契約が効力発生までの流れ

ステップ プロセス
1 任意後見契約
2 判断能力の低下
3 家庭裁判所に任意後見監督人の申し立て
4 (家庭裁判所が)任意後見監督人の選任
5 任意後見契約の効力発生

2.法定後見制度

ご本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所によって、成年後見人等が選ばれる制度です。ご本人の判断能力に応じて、「補助」「保佐」「緩員」の3つの制度が用意されています。

補助 保佐 後見
対象となる方 判断能力が不十分な方 判断能力が著しく不十分な方 判断能力が全くない方
成年後見人等が 同意又は取り消すことができる行為 申立てにより裁判所が定める行為 申立てにより裁判所が定める行為(※2)借金、相続の承認など、民法13条1項記載の行為のほか 原則としてすべての法律行為
成年後見人等が代理することができる行為 (※3) 申立てにより裁判所が定める行為 申立てにより裁判所が定める行為 原則としてすべての法律行為

※成年後見人等が取り消すことができる行為には、日常生活に関する行為(日用品の購入など)は含まれません。
※2民法13条1項記載の行為(借金、相続の承認や放棄、訴訟行為、新築や増改築など)の一部に限ります。
※3ご本人の居住用不動産の処分については、家庭裁判所の許可が必要となります。
※保佐制度及び後見制度の利用により、ご本人が一定の資格や地位を失う場合があります。
※補助開始の審判、補助人に同意権・代理権を与える審判、保佐人に代理権を与える審判をする場合には,、ご本人の同意が必要です。

4.手続の流れ

市区町村・民間団体など

市区町村に設置されている地域包括支援センターや社会福祉協議会

市区町村に設置されている地域包括支援センターや社会、福祉協議会などしって成年後見人に制度に関わる専門職の団体弁護士会司法書士会。社会福祉会に成年後見制度を利用するための手続き、必要な書類、成年後、見人などになってくれる方の確保などについて、あらかじめ相談することができます。

家庭裁判所での手続き

1。申し立て

申し立てには、申し立てそうなどの書類や申し立て手数料などの費用が必要です。

2。調査

電話で予約をしてた家庭裁判所もありますに、調査など裁判所から事情をお尋ねすることがあります。ご本人の判断能力について、鑑定を行うことがあります。別途費用がかかります。

3。審判

貢献当の開始の手続きをすると同時に成年後見人等を選任します。

4。報告

成年後見人等は、選任後速やかに、ご本人の財産や生活の状況を確認して、
財産目録及び収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出します。
成年後見人などは原則として少なくとも年に 1 回、ご本人の生活や資産の状況など報告を求めていきます。

申立てについて

Q1申立てはどこの裁判所でもできますか?
Q2誰でも申立てができますか?
Q3申立てにはどのような書類が必要ですか?また、費用はかかりますか?
Q4鑑定が必要な場合があると聞きましたが、どのような場合ですか?
Q5申立てを取り下げることはできますか?

詳しくは

Q.成年後見人等の選任

Q1成年後見人等にはどのような人が選ばれますか?
Q2成年後見人等は、選任されたらまずどのようなことをするのですか?
詳しくは  へ

Q.適切な後見など事務を行っていただくために

Q1成年後見人等による適切な後見等事務をサポートするための方策はどのようなもの
がありますか?

Q2後見制度支援信託の仕組みや手続の流れはどのようなものですか?
詳しくは  へ

Q1成年後見人等に選任された後、どのようなことに注意する必要があり
ますか?

裁判所から事情をお尋ねすることがあります。
※ご本人の判断能力について鑑定を行うことがあります(別途費用がかかります。)。

後見等の開始の審判をすると同時に成年後見人等を選任します。

Q2後見等事務の報告はどれくらいの頻度で行うのですか?
Q3成年後見人等に報酬は支払われますか?
Q4住所を変更した場合はどうすればよいですか?

Q.後見等の終了

Q1成年後見人等の仕事はいつまで続きますか
Q2成年後見人等の仕事が終了した後はどのようなことをするのですか?

成年後見人等の選任

成年後見人等にはどのような人が選ばれますか?

5.申立について

Q1.申してはどこの裁判所でもできますか?

申立は、御本人の住所を管轄する家庭裁判所にします。

Q12誰でも申立てができますか?

、申し手をすることができる方は、御本人、配偶者、四親等内の親族などです。その他、市区町村長が申し立てることもできます。
※ご本人から見て次の方たちが、四親等内の主な親族にあたります。
・親、祖父母、子、孫、ひ孫 ・兄弟姉妹、甥、姪、おじ、おば、いとこ ・配偶者の親、子、兄弟姉妹

Q3.申立てにはどのような書類が必要ですか?また、費用はかかりますか?

申立てに必要な書類や費用のうち、主なものは次のとおりです。

●申立書
●診断書(成年後見用)※申立書及び診断書(成年後見用)の用紙は家庭裁判所や裁判所ウェブサイトから入手できます。
● 申立手数料(1件につき800円分の収入印紙)
※補助ゃ1桑佐において、『も迎籍ゃ祠巌籍を付与する蕃薗を同時に申し立てる場合は、これらの申立てそれぞれにつき収入印紙800円分が必要になります。
● 登記嘱託手数料(2,600円分の収入印紙)
●郵便切手
●ご本人の戸籍謄本
●鑑定料(鑑定を行う場合) など

詳しくは、家庭裁判所に用意されている一覧表などでご確認ください。

Q4.鑑定が必要な場合があると聞きましたが、どのような場合ですか?

Aご本人の判断能力の程度を慎重に判断するため、医師による鑑定を行うことがあります。
この場合は、鑑定料が必要になります。鑑定料は個々の事案によって異なります。

※鑑定料を含め申立てに必要な手続費用は、原則として申立人に納めていただくことになります。

Q5.申立を取り下げることはできますか?

申し立てを取り下げることはできますか?申し立てをすると、家庭裁判所の許可は変なければ取り下げることはできません。例えば、申立人が候補者として推薦する方が成年後見人などに選任されそうにないという理由では、原則とし申し立ての取り下げは認められません。

6.成年後見人などの選任

Q1.成年後見人にはどのような一が選ばれますか?

A>家庭裁判所では、後見等の開始の審判をすると同時に成年後見人等を選任します。成年後見人等の選任に当たっては、家庭裁判所が、ご本人にとって最も適任だと思われる方を選任します。

申立ての際に、ご本人に法律上又は生活面での課題がある、ご本人の財産管理が複雑困難であるなどの事情が判明している場合には、弁護士、司法書士、社会福祉士など、成年後見人等の職務や責任についての専門的な知識を持っている専門職を成年後見人等に選任することがあります。

なお、誰を成年後見人等に選任するかという家庭裁判所の判断については、不服申立てをすることはできません。

Q2.成年後見人等は、選任されたらまずどのようなことをするのですか?

A.成年後見人等は、選任後速やかに、面談などを通じてご本人の生活の状況や今後の生
活上の希望等を確認します。また、銀行等へ必要な届出を行い、後見等事務の方針を立
てた後、財産目録及び収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出します。

※銀行等へ必要な届出を行う際に、登記事項証明書の提出を求められることがあります。登記事項証明書には後見等 ほべむキょ<
の開始の審判の内容が記載されており、法務局で取得することができます。

※財産目録とは、ご本人の預貯金や不動産などの財産がどれくらいあるのかを記載した書面です。

※収支予定表とは、ご本人の収入と支出の予定について、生活状況を踏まえて記載した書面です。

成年後見人等による適切な後見等事務をサポートするための方策はどのようなものがありますか?

●後見監督人等の選任

予定されている後見事務が複雑困難である場合には、家庭裁判所は、成年後見人等の事務をサポートするため、弄璽士、司法書士、社会福祉士などの専門職を後見監督人等に選任することがあります。

家庭裁判所に報告

利用開始/払戻し・追加信託

●後見制度支援信託の利用

成年後見人に適切に財産を管理していただくための一つの選択肢として、後見制度支援信託の利用を検討する場合があります。
後見制度支援信託とは、ご本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として成年後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みです。

この仕組みを利用することによって、成年後見人は日常的に必要な金銭を管理することになり、財産管理の負担が軽減されるとともに、家庭裁判所への報告も容易になるメリットがあります。

※後見制度支援信託は、成年後見と未成年後見において利用することができます。補助、保佐及び任意後見では利用できません。

後見制度支援信託の仕組み

信託銀行等が管理

●後見制度支援信託の利用の適否についての検討

成年後見人は、ご本人の生活状況や財産状況を踏まえて検討し、後見制度支援信託の利用に適しているか否かについて、家庭裁判所に報告します。

●信託契約締結

家庭裁判所は、後見制度支援信託の利用に適していると判断した場合は、信託
契約を締結するための指示書を成年後見人に交付します。成年後見人は信託銀行
等に指示書を提出し、信託契約を締結します。

●信託銀行等からの払戻し・追加信託

信託契約の締結後、信託銀行等からの払戻しや追加して信託を行う必要が生じる場合があります。
いずれの手続にも家庭裁判所が発行する指示書が必要です。

ご本人の財産

普段は使用しない金銭

信託財産

※後見制度支援信託を利用する際に、専門職が後見人又は後見監督人として関与した場合には家庭裁判所の定める
蘭柾が必要となります(別途、信託銀行等の管理籍酋が生じる場合があります。)。

なお、信託契約の締結後、専門職が関与する必要性がなくなれば、専門職は辞任します。

成年後見人等に選任された後、どのようなことに注意する必要がありますか?

成年後見人等は、ご本人の意向を尊重し、安定した生活を送ることができるよう、ご本人の身上に配慮する必要があります。

また、財産を適切に管理する義務を負っていますので、成年後見人等がご本人の財産を不適切に管理した場合には、成年後見人等を解任されるほか、損害賠償請求を受けるなど民事責任を問われたり、業務上横領などの罪で刑事責任を問われたりすることもあります。

後見等事務の報告はどれくらいの頻度で行うのですか?

家庭裁判所は、必要に応じて成年後見人等に後見等事務の状況の報告を求めており、この報告により、成年後見人等が適切に事務を行っているか確認します。
現在、成年後見人等は、一般的には1年に1回、決められた時期に後見等事務の状況を報告するよう求められています。

成年後見人等に報酬は支払われますか?

成年後見人等や後見監督人等は、家庭裁判所に報酬付与の申立てを行った場合には、家庭裁判所の定めた報酬をご本人の財産から受け取ることができます(家庭裁判所の許可なくご本人の財産から報酬を受け取ることはできません。)。

※任意後見監督人についても、家庭裁判所に対して報酬付与の申立てを行った場合には、家庭裁判所の判断により、ご本人の財産から報酬が支払われることになります。

ご本人や成年後見人等の住所を変更したときは、法務局に「変更の登記」を申請してください(申請の手続については、詳しい司法書士におたずねください。)。
また、その際には家庭裁判所に連絡してください。

成年後見人等の仕事はいつまで続きますか?

成年後見人等の仕事は、ご本人が病気などから回復し判断能力を取り戻すか、ご本人が亡くなるまで続きます。申立てのきっかけとなった当初の目的(例えば、保険金の受領や遺産相続など)を果たしたら終わりというものではありません。

なお、成年後見人等を辞任するには、家庭裁判所の許可が必要となります。

成年後見人等の仕事が終了した後はどのようなことをするのですか?

●家庭裁判所への連絡及び報告

ご本人が亡くなった場合等は、まず、家庭裁判所に連絡し、その後の事務について確認してください。

●法務局への登記の申請

家庭裁判所への連絡等のほか、法務局に「終了の登記」を申請してください(申請の手続については、詳しい司法書士におたずねください。)。

無料相談を受付中です

無料相談を随時受付しております。日本全国からオンライン相談も可能です。記事を読んでのご相談もお受けしています。お問い合わせフォームからご相談ください。

目次

目次