親が亡くなり相続手続の準備をはじめる人「これから親の相続の手続きをしなければならないのだけれど、いったい何から手をつけたらいいのかな?準備や手順について、専門家に教えてもらいたいな」
この記事を書いている私は、32年司法書士として相続の相談や手続きを受けています。事務所が住宅地にあることから、毎日のように相続についての相談があり、私自身も数年前に父親が亡くなったことで、相続のの煩雑さや家族ならではの悩みを実体験としてもっています。
親が亡くなったら相続手続きのためにまずやる準備【はじめての相続】
- 相続が開始したらまずやること
- 相続する権利(義務)がある人とは
- 相続財産とは
- 相続財産を誰とどう分ける
- 遺言書がある場合とない場合
相続が開始したらまずやること
①:遺言書があるかどうか確認します
- 公正証書遺言
- 自筆証書遺言
など、適正な遺言書があれば、その遺言が優先され、遺言書の内容に従って相続の手続きを行うことができます。
遺言書が適正であれば、遺言書の内容が優先されますので、まずは
遺言書は適正(有効)かどうか?
を確認しておく必要があります。
なお、自筆証書遺言書の場合には、家庭裁判所の検認の手続が必要になります。
②:財産や借金の確認
亡くなった方が所有する財産を確認します。
財産
- 預貯金
- 株式
- 不動産
- 車
負債
- 借入金
- 保証人
プラスの財産だけではなく、借入金などの負債も相続財産になりますので、把握する必要があります。
相続する権利(義務)がある人とは
法定相続人は法律で定められた相続の権利を有する人です。
配偶者と亡くなった人の子ども、直系尊属、兄弟姉妹に大きく分けられます。
法定相続人
配偶者
配偶者というのは、婚姻関係にある夫婦の相手方のことです。
夫にとっては妻、妻にとっては夫を言います、
配偶者は婚姻届を出している必要があります。
婚姻届の出してある関係であれば、たとえ亡くなった相手と別居中であっても、相続権があります。
婚姻届をしていない内縁関係の場合には、法律的には配偶者と認められずに相続人にはなりません。
子ども
亡くなった方に子どもがいれば、第一順位で相続人になります。
婚姻関係にある夫婦の子どもでも、婚姻関係がない間に生まれた子どもも相続人になります。
また養子も実子と同じく相続人になります。
ちなみに、養子は、養親だけでなく実親の相続人でもあります。(特別養子を除きます)
亡くなった人よりも、先に子どもが亡くなっていた場合には、その子どもの子(孫)が子に代わって相続人になります。
この子どもの代わりに相続人となる孫のことを、代襲相続人と呼びます。
直系尊属
亡くなった方の父母、祖父母、曾祖父母などを言います、
直系尊属が相続になれるのは、亡くなった人に子どもも孫もいない場合のみです。
近い順に、相続人になります。
したがって、亡くなった方の親がひとりでもご健在であれば、祖父母は相続人にはなりません。
兄妹姉妹
亡くなった人に、子どもも孫も直系尊属もいない場合に、亡くなった人の兄妹姉妹が相続権があります。
亡くなった人よりも、先に兄妹姉妹が亡くなっていた場合には、甥姪がその兄妹姉妹に代わって相続人になります。
ただ、兄妹姉妹に代わって相続人になれる代襲相続人になれるのは甥姪までです。
法定相続の他に遺産を引き継ぐことができる人
受遺者
遺言によって財産の受取人と指定された人のことを言います
特別縁故者
法定相続人にも従事者にも該当する人がいない時には、家庭裁判所に被相続人と特別の縁故があったことを申し立て、特別援護者として裁判所に認められた人
相続財産とは
相続される財産だといえば、預貯金や株式、土地や建物の不動産など、プラスになる財産にだけに興味関心がいきがちですが
借金や保証人などマイナス財産(負債)も遺産であることを忘れてはなりません。
相続財産を誰とどう分ける
①:配偶者と子どもがいる場合
- 配偶者(夫または妻)→2分の1
- 子ども全員→2分の1
子どもが1人なら、2分の1
子どもが2人なら、ひとり4分の1ずつ
子ともが3人なら、ひとり6分の1ずつ
②:配偶者はいるが、子どもがいなくて、親がいる場合
- 配偶者(夫または妻)→3分の2
- 直系尊属(親)→3分の1
③:配偶者はいるが、子どもがいなくて、親もいない場合
- 配偶者(夫または妻)→4分の3
- 兄弟姉妹→4分の1
④:配偶者がいなくて、子どもがいる場合
すべての財産が、子どもへ
子どもが複数いたら、平等に分けます。
⑤:配偶者も子どもがいなくて、親がひとりでもいる場合
すべて直系尊属(親)
両親ともいたら、それぞれ2分の1ずつ
⑥:配偶者も子どももいなくて、親もいない場合
兄弟姉妹がすべて相続します。
兄弟姉妹が複数人いる場合は、均等に分けます。
父母の違う兄弟がいる場合は、父母を同じくする兄弟が2:父母が異なる兄弟が1で分けることになります。
⑦:配偶者も子どももいなくて、親も兄弟姉妹もいない場合
相続人がいないことになります。
父母の違う兄弟がいる場合は、父母を同じくする兄弟が2:父母が異なる兄弟が1で分けることになります。
遺言書がある場合とない場合
①:適正な遺言書がある場合
適正な遺言書に記載されている人が、法定相続分以上に相続したり、相続人でない人が遺贈を受けたりします。
遺言書には
- 相続分の指定
- 認知
- 遺贈
- 寄付
他、遺言執行人などを記載することができ指定ができます。
②:遺言書がない場合、または、遺言書が適正(有効)でない場合
法律で定められた順で、相続します。
したがって、遺言書が適正であるかどうかは相続手続きにおいて重要なことです。
適正(有効)な遺言書があれば、法定相続で相続人間で話し合いをすすめていたとしても、遺言書の内容が法定相続よりも優先されるということです。
まとめ
相続の手続きには、銀行でも証券会社でもどこでも相続を証明するために戸籍・遺言書などの書面が必要となります。
戸籍遡って取得していくと、家族でも知らない相続人がでてくることもまれにあります。しかし、勝手に省いて手続きをすることは不可能です。
できれば、しっかりとアドバイスを受けながら相続の準備されることをおすすめします。
相続が開始する前、相続開始後、いつのタイミングでも確認しておきたいと疑問点があれば、相談してください。あなたの状況に沿ったしっかりと適正なアドバイスをしています。
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