📖『犬と逃げる』─犬の正体を知ったとき、涙が止まらなかった

Audibleで佐藤青南さんの『犬と逃げる』を聴き終えました。
島原の空気をすぐそばに感じられる時間でした。

小学校の校庭に一匹の犬が逃げ込んでくる。
そんな、ほのぼのとした風景から物語は始まります。

子どもたちと犬のあたたかい交流が描かれるのかな、と思っていたら──物語はそこから思いもよらない方向に広がっていきました。

犬の飼い主と、引越してきて友達のいないひとりの小学生。

ふたりの交流が静かに深まっていくにつれ、犬と飼い主がなぜその子の近くにやってきたのか、その経緯が少しずつ明らかになっていきます。

その理由が、なんとも胸に刺さる。

けれど、犬と飼い主のあいだにある絆を知ると、どうか幸せでいてほしいと応援したくなる。そして少女が引っ越してきた理由とも重なっていくと、もう「どうにかみんな円満におさまってほしい」と祈るような気持ちでした。

そして、最後に明かされる犬の「正体」。

ああ、そうだったのか──と知ったとき、胸に広がったのは、ただただ愛おしいという感情でした。

夫婦、親子、犬と人間、友人、知人。
どの関係も複雑で、簡単にはいかないことばかり。

でも、その底にはちゃんとあたたかいものが流れている。
それを感じて、涙が止まりませんでした。

日々いろいろな方のお話を聞いていると、家族の関係や人と人とのつながりは、きれいごとだけではすまないことにもあいます。

でも、そのなかに必ず秘めたあたたかい思いをきくたびに、根底にはそれぞれがやさしい気持ちで繋がっているのだなと気づきます。

上手に伝えられていないだけにすこし第三者が加わることで状況が変わるきっかけになれたかなと感じられたとき、この仕事をしていてよかったと思います。

この物語も、そんなあたたかさを静かに、でも確かに伝えてくれる一冊でした。

犬好きの方にも、ミステリー好きの方にも、そして──人との関係にちょっと疲れたなと感じている方にも。
そっと寄り添ってくれる物語です。

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