成年後見制度には、大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の2つがあります。
この2つの最大の違いは、「いま」必要なのか、「将来」に備えるのかという点です。
法定後見と任意後見の比較
| 法定後見 | 任意後見 | |
|---|---|---|
| いつ使う? | すでに判断能力が衰えている場合 | 元気なうちに、将来に備えたい場合 |
| 誰が後見人を選ぶ? | 家庭裁判所が選任 | ご本人が自分で選ぶ |
| 手続きの開始 | 家庭裁判所への申立て | 公証役場で任意後見契約を締結 |
| 後見の開始時期 | 審判の確定後(申立てから約2〜4か月) | 判断能力が低下した後、家庭裁判所に申立て |
| 費用の目安 | 申立て費用:約1〜2万円+医師の鑑定費用(5〜10万円程度) | 公正証書の作成費用:約3万円前後 |
| 後見人の報酬 | 家庭裁判所が決定(月額2〜6万円程度) | 契約で自由に取り決め |
| 裁判所の監督 | あり(定期報告が必要) | 任意後見監督人が選任される |
| こんな方に | すでに認知症の症状がある方のご家族 | 「自分のことは自分で決めたい」方 |
法定後見の3つの類型
法定後見は、判断能力の程度によって3つに分かれます。
| 類型 | 判断能力の程度 | 後見人ができること |
|---|---|---|
| 後見 | ほとんどない | 財産に関するすべての法律行為を代理 |
| 保佐 | 著しく不十分 | 重要な法律行為(不動産の売買、借金など)に同意権・取消権 |
| 補助 | 不十分 | 家庭裁判所が定めた特定の行為に同意権・取消権 |
どの類型になるかは、医師の診断書や鑑定をもとに家庭裁判所が判断します。
任意後見の特徴
任意後見は、ご本人がお元気なうちに、将来の後見人を自分で選んで契約しておく制度です。
- 後見人を自分で指名できます(家族、友人、専門家など)
- どんな支援をしてほしいか、内容を自分で決められます
- 公証役場で公正証書を作成して契約します
- 実際に判断能力が低下したときに、家庭裁判所に申立てをして後見が始まります
「将来が不安だけど、まだ元気なうちに備えておきたい」という方に適した制度です。
どちらを選べばいいか迷ったら
| こんな状況なら | おすすめの制度 |
|---|---|
| 親がすでに認知症と診断されている | 法定後見 |
| 遺産分割協議をしたいが、相続人の中に判断能力が衰えた方がいる | 法定後見 |
| 親が高齢だが、まだ判断能力はしっかりしている | 任意後見 |
| おひとりさまで、将来の財産管理が心配 | 任意後見 |
| 認知症になる前に、不動産の管理・処分を柔軟にしたい | 家族信託も検討(→ 家族信託と成年後見の比較) |
