遺言書を残そうと思ったけれど、調べてみるといくつか種類があるらしい。
自筆証書遺言、法務局の保管制度、公正証書遺言。一体、どれを選べばいいのか。悩むだけで、なかなか進まないという方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げます。公正証書遺言です。
なぜそう言い切れるのか。長年、司法書士として多くの相続に関わってきた経験からお伝えします。
公正証書遺言をすすめる理由
遺言書は、あなたが亡くなった後に実現するものです。つまり、遺言書が必要になるそのとき、あなたはもういません。
説明も、付け足しも、言い訳もできません。
だからこそ、受け取る人が悩むことなく、難しい手続きをしなくても、すぐに実現できるように残してあげること。これが遺言書の使命だと考えています。
公正証書遺言には、それを可能にする大きな力が2つあります。
1. すぐに実現できる
公正証書遺言は、家庭裁判所での「検認」という手続きが不要です。亡くなった後、すぐに遺言の内容を実行に移すことができます。
自筆証書遺言の場合(法務局の保管制度を利用しない場合)、まず家庭裁判所で検認を受ける必要があり、その間、相続手続きを進めることができません。受け取る方にとって、この待ち時間は想像以上に負担になります。
2. 確実に実現できる
公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成します。形式の不備で遺言が無効になるおそれがほとんどありません。
自筆証書遺言の場合、ご自身で書くため手軽ではありますが、日付の書き方ひとつ、訂正の仕方ひとつで無効になることがあります。せっかくの想いが届かないのは、本当にもったいないことです。
3つの遺言書を比べてみる
遺言書には主に3つの方法があります。それぞれの特徴を整理しました。
自筆証書遺言(自分で書いて、自分で保管)
紙とペンがあれば、いつでも書けます。費用もかかりません。いちばん手軽な方法です。
ただし、全文を手書きする必要があり、形式に不備があると無効になります。自宅で保管する場合は、紛失や改ざんのリスクもあります。亡くなった後に家庭裁判所の検認が必要です。
自筆証書遺言+法務局保管制度
自分で書いた遺言書を法務局に預ける制度です。2020年7月に始まりました。手数料は3,900円です。
法務局で保管されるため、紛失や改ざんの心配がなくなり、検認も不要になります。ただし、法務局は遺言書の内容についてはチェックしません。形式的な確認のみです。つまり、内容に問題があっても、そのまま保管されてしまいます。
また、保管の申請は遺言者本人が法務局に出向く必要があり、代理人による申請はできません。
公正証書遺言
公証役場で、公証人に作成してもらう遺言書です。証人2名の立会いが必要です。
公証人が内容を確認しながら作成するため、形式の不備で無効になるおそれがほとんどありません。原本は公証役場に保管され、紛失や改ざんの心配もありません。検認も不要です。
費用は財産の額に応じて変わりますが、目安として数万円程度です。
比較のポイント
| 自筆証書遺言 (自宅保管) |
自筆証書遺言 (法務局保管) |
公正証書遺言 | |
|---|---|---|---|
| 費用 | なし | 3,900円 | 数万円〜 |
| 作成 | 自分で手書き | 自分で手書き | 公証人が作成 |
| 内容のチェック | なし | なし(形式のみ) | あり(公証人) |
| 保管 | 自分で保管 | 法務局 | 公証役場 |
| 検認 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 紛失・改ざんリスク | あり | なし | なし |
| 無効になるリスク | あり | あり | ほぼなし |
「費用がかかるから」と迷っている方へ
公正証書遺言の費用がネックだと感じる方もいらっしゃいます。確かに、自筆証書遺言なら費用はかかりません。
ただ、考えていただきたいのは、遺言書が無効になったとき、あるいは内容に不備があったとき、残されたご家族にどれだけの負担がかかるかということです。
相続人全員での話し合い、場合によっては調停や裁判。それにかかる時間と費用、そして家族の関係への影響は、公正証書遺言の費用とは比べものになりません。
公正証書遺言の数万円は、「確実に届く」ための費用だとお考えください。
「まず自筆で書いてみたい」という方も
もちろん、自筆証書遺言にもよいところがあります。自分のペースで、自分の言葉で書けること。思い立ったらすぐに書けること。
「まず気持ちを形にしてみたい」という方は、自筆で書いてみるのもひとつの方法です。あとから公正証書遺言に作り直すこともできますし、法務局の保管制度を利用することもできます。
大切なのは、「いつか書こう」と思っているうちに時間が過ぎてしまわないことです。
司法書士に相談するメリット
公正証書遺言を作るとき、公証役場に直接行くこともできます。ただ、「何をどう伝えればいいかわからない」という方がほとんどです。
司法書士にご相談いただければ、遺言の内容を一緒に整理するところから始められます。必要書類の準備、公証人との打ち合わせ、当日の証人の手配まで、すべてサポートいたします。
遺言書の無料添削もお受けしています
「すでに自分で書いてみたけれど、これで大丈夫か不安」という方には、遺言書の無料添削を行っています。書きかけの状態でも構いません。
無料相談のご案内
「遺言書を作りたいけれど、何から始めればいいかわからない」「公正証書遺言にしたほうがいいのか相談したい」──そんな段階からのご相談を歓迎しています。
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翔栄法務司法書士事務所 司法書士 山内扶美子
