遺言書の種類が多く、どれを選ぶべきか迷うこともあるでしょう。自筆証書遺言、法務局保管制度、公正証書遺言といった選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分に最も適した遺言書の形を選ぶために、30年の経験を持つ司法書士がまとめた各遺言書の特徴を参考にしてください。
いちばん簡単なのは自分で書いて保管(自筆証書)ですが、法務局や公証人役場で保管してもらうのが安心です。
メリット・デメリットをまとめました
遺言書の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自筆証書遺言 | 費用がかからない。手書きなので真贋が確認しやすい。内容を自由に書けるので、自分の言葉で意志を細かく伝えることができます。 | 遺言書の存在や内容がわかりにくい。意図が曖昧であったり、表現に問題があると、法的に無効になることがある。相続人同士の紛争が生じる可能性がある。相続開始後に、家庭裁判所での検認の手続きが必要。 |
法務局保管制度 | 自分で書いて法務局に預ける方法です。自分で書くことができる。遺言書が公的な機関に保管されるため、存在や内容が明確になる。偽造や紛失のリスクが低い。検認の手続きがいらない。 | 遺言者本人が管轄の法務局に行く必要がある。遺言書の内容が事前に確認されないため、法的な問題が発生する可能性がある。費用(3,900円)が必要。遺言書の変更に手間がかかる。 |
公正証書遺言 | 遺言書の真贋が保証される。公証人に出張してもらうこともできる。遺言書の存在や内容が公的に証明されるため、トラブルを未然に防ぐ。遺言書の変更が可能。遅滞なく相続手続きが進む。家庭裁判所での検認の手続きがいらないため、最も早く相続手続きができる。 | 費用がかかる。自筆証書遺言に比べて自由度が低い。立会人として家族以外の成人2名が必要。公証人との事前打ち合わせなど費用と時間がかかる。公証人と立会人2名の日程調整が必要。 |
【自筆証書】自分で自由に書いて保管する遺言
メリット:
費用がかからない。
本人の手書きであることから、遺言書の真贋が確認しやすい。
自由度が高く、自分の意志を細かく反映させることができる。
デメリット:
遺言書の存在や内容がわかりにくくなる場合がある。
本人の意図が曖昧であったり、表現に問題がある場合、法的に無効になることがある。
相続人同士の紛争が生じる可能性がある。相続開始後に、
家庭裁判所での検認の手続きが必要。
【法務局保管制度】自分で書いて法務局に預ける
メリット:
自分で書くことができます。
遺言書が公的な機関にに保管されるため、自分が亡くなったあとに存在や内容が明確になる。
偽造や紛失のリスクが少なくなる。
検認の手続きがいらない。
デメリット:
遺言者本人が管轄の法務局に行く必要があります。
遺言書の内容が事前に確認されないため、家族や相続人同士の問題が発生する可能性がある。
法務局での遺言書保管制度を利用するためには費用(3900円)が必要である。
遺言書の変更するには、提出している遺言書を撤回して改めて預け直す必要があります。
【公正証書遺言】公証人に預ける
メリット:
公証人が立ち会い、内容を確認しているため、遺言書の真贋が保証される。
本人が公証人役場に行けない場合は、公証人に出張してもらうことができます。
遺言書の存在や内容が公的に証明されるため、家族や相続人同士のトラブルを未然に防ぐことができる。
遺言書の変更も可能です。
検認の手続きがいらない。
本人が亡くなってから、もっとも遅滞なく相続の手続きがすすめられます。
デメリット:
公正証書にするため、費用がかかります。
自筆証書遺言に比べ、公証人と打ち合わせて作成するために、自分の言葉でかくのとはことなり、自由度が少ないと感じるかもしれません。
立会人として家族以外の成人2名が必要です。
公証人との事前に内容の打ち合わせなど時間がかかる場合がある。
公証人と、立会人2名との日程の調整が必要なため、時間がかかる場合がある。
以上のように、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。遺言書の作成方法については、自分自身の状況や相続人、遺産などに応じて適切な方法を選ぶことが大切です。
そのためにも、経験豊富な司法書士に相談をご活用ください。