<離婚にあたり、不動産を財産分与として一方に移転するケースは非常に多くあります。この場合、財産分与を原因とする所有権移転登記(名義変更)が必要になります。
37年の実務のなかで、離婚に伴う不動産のご相談は数多くいただいています。感情的になりやすい場面だからこそ、法律と登記の面から冷静に整理することが大切です。
財産分与とは
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を、離婚に際して分け合うことです。不動産も財産分与の対象になります。
よく誤解されますが、財産分与は贈与ではありません。そのため、原則として贈与税はかかりません(ただし、分与の額が過大な場合など例外はあります)。
財産分与による名義変更の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 離婚の合意・協議 | 誰がどの財産を取得するか、話し合いで決めます。合意内容を離婚協議書にまとめます |
| ② 登記に必要な書類の準備 | 印鑑証明書や登記識別情報(権利証)など、登記に必要な書類は離婚届の提出前に確実に受け取っておきます。離婚後では相手の協力が得られなくなるリスクがあるためです |
| ③ 離婚届の提出 | 書類が揃ったうえで、離婚届を市区町村に提出します |
| ④ 登記申請 | 法務局に財産分与を原因とする所有権移転登記を申請します。登記は離婚届の提出後でなければできません |
| ⑤ 登記完了 | 約1か月ほどで登記が完了(法務局や時期によって前後します) |
必要な書類
| 名義を渡す方 | 名義を受け取る方 | |
|---|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証等 | 運転免許証等 |
| 印鑑証明書 | 必要(発行から3か月以内) | — |
| 登記識別情報(権利証) | 必要 | — |
| 住民票 | — | 必要 |
| 固定資産評価証明書 | 必要 | — |
| 離婚の記載がある戸籍謄本 | 必要 | |
| 財産分与の合意書(離婚協議書) | 必要 | |
登記にかかる費用
| 費用の項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産評価額の2% |
※司法書士の報酬は別途かかります。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている不動産の名義変更は、特に慎重な話し合いが必要です。ローンの名義と不動産の名義は別物であり、不動産の名義を変更しても、ローンの返済義務は変わりません。
住宅ローンが残っている場合は、まず司法書士にご相談ください。状況に応じた進め方をご一緒に検討します。
共有名義の場合
夫婦の共有名義で不動産を購入しているケースも多くあります。
- 一方の持分を他方に移す場合 → 持分移転登記
- 住宅ローンをそれぞれが負担している場合 → 双方の金融機関との調整が必要
財産分与の登記には期限があります
財産分与の請求権は、離婚から2年で消滅します。離婚が成立したら、なるべく早めに名義変更の手続きを進めましょう。
「離婚の話し合いが先で、登記は後回し」にしているうちに2年が過ぎてしまうケースもあります。
⚠ 税金について
財産分与による名義変更には、原則として贈与税はかかりません。ただし、名義を渡す側に譲渡所得税がかかる場合があります。特に、購入時より不動産の価値が上がっている場合はご注意ください。
税金面については、当事務所では、信頼できる税理士と確認しながら相談から進めています。
離婚と不動産でお悩みの方へ
離婚に伴う不動産の問題は、感情面と法律面が複雑に絡み合います。おひとりで判断せず、専門家にご相談ください。
- 自宅の名義をどちらにするか決めたい
- 住宅ローンが残っていて、どうすればいいかわからない
- 離婚協議書の作成について相談したい
- 離婚から時間が経ってしまったが、まだ名義変更をしていない
- 相手が名義変更に協力してくれない
