先日、父が亡くなりました。
その父が遺言書を書いていたのは知っています。
その遺言書がどこにあるのかも、わかっています。
遺言書を開けて中身を確認してもいいですか?
遺言書の方式はどのようなものかわかりますか?
父が自分で書いたものを自宅で保管していたものです。
公正証書遺言ではないという事ですね?
はい、公正証書にするとお金がかかるからやめたと言っていましたので。
自分で書いた遺言書を法務局に預けていることはありませんか?
それもありません。父が遺言書を書いた時には、もう一人で出かけられる状態ではありませんでした。
それであれば、自筆遺言書に当たるものでしょう。
はい、姉と相続の手続きをするために、先に遺言書の中身を確認しておきたいと思っています。
遺言書の内容が気になるのはよくわかります。ただ、自筆証書遺言遺言書はそのままの状態で、開封するには家庭裁判所で手続きが必要です。
それは、勝手に開けたら遺言書が無効になってしまうということですか?
知らずに自筆の遺言書を開封をしてしまったとしても、無効になることはありません。
では、なぜ開けてはいけないのでしょう?
また、家庭裁判所での開封の儀を「検認」というのですが、これも遺言書の有効無効を判断するものでもありません。
ただ、封をして閉じてあった遺言書を、家庭裁判所で検認される前に開けられていたら、その有効無効を問題にしたくなる相続人がいるかもしれません。
うーん
勝手に開けて、中身を差し替えらたのではないか?という疑いが生まれる可能が出てきます。
そうなると、新たに遺言書の無効確認の訴訟が起こされるということもありえます。
なるほど、それは困りますね。
いらない疑いを招かないためにも、そのままにしておいた方がいいとうことですね。
はい、遺言書の中身が早く見たいという気持ちはわかりますが、これから始まる相続手続きには時間がかかるものだと思って、順番に手順に沿って進めていきましょう。
はい、まずは何を始めたらいいですか?
まずは、亡くなったお父様の戸籍(または除籍)を取得して下さい。
はい、それは父親の本籍で取る必要があるのですよね。
亡くなった記載のある戸籍は、亡くなってから記入されるまで2週間から1ヶ月くらいはかかります。亡くなってすぐにはまだ役所内で戸籍への記入の手続き中で、数日、待たなければならないかもしれません。
本籍がわからない場合にはどうしたらいいですか?
お父様の住民票の住所はわかりますよね?
はい。住所はわかります。
お父様の亡くなった記載がされている住民票の除票を取得してもらい、その際に、本籍地付きとして申請して下さい。
なるほど。本籍を正確に覚えていないので助かります。
もちろん、あなたの戸籍も必要となるので、自分の戸籍からお父様の本籍地がわかります。
そうなのですね
その、戸籍の見方や調べ方は、別でお知らせしますね。
よろしくお願いします。
家庭裁判所の検認の手続きに必要なものは
・申立書(申立ての収入印紙800円と、指定された切手が必要です)
・亡くなった方(お父様)の戸籍謄本(除籍)から順に戸籍謄本(除籍)を遡って出生まで取得します。
・相続人にあたる人の全員の戸籍(相続人がわからない場合には、司法書士などに確認して下さい。)
はい、相続人は姉と私の二人だけです。
その、相続人が二人しかいないことを証明するために’、お父様が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を提出する必要があります。
まずは、戸籍などが揃ったら、裁判所所定の申立書を書いて、家庭裁判所に申し立て(申請)をします。
どこの裁判所でもいいのでしょうか?
いえ、管轄の家庭裁判所は決まっています。
それは、どこでしょう?
申立をする家庭裁判所は、遺言者であるお父様の最後の住所地の家庭裁判所になります。
その家庭裁判所に、指定された必要書類を持っていけばいいということですか?
申立書は郵送でもできます。また、申立書が家庭裁判所で受け付けてから、内容と書類を確認してから順番に進むので、すぐにその場で検認の手続きがされるわけではありません。
遺言書はいつ見せるのですか?
それは家庭裁判所から、指定をされますので、その連絡を待って下さい。
仕事の都合があるので、いつでも行けるというわけではないのですが
もちろん、遺言書を保管している人が遺言書を持って行かなければ開封の儀(検認)ができないので、申立人であるあなたの予定が優先されますので、家庭裁判所と日程は打ち合わせて決められます。
はい、では、提出した後は家庭裁判所からの連絡を待つということになりますね。
そうですね。もし追加で必要な書類があればそれも連絡がもらえます。
そもそも家庭裁判所の検認を受けずに、進めることはできないものなのでしょうか?
手書きの自筆証書遺言の場合は、銀行でもどこでも「検認」がされていないまま持参しても、受け付けてもらえないのですよね。
そうなのですね
例えば、A銀行の預金は、長男であるあなたに相続させると書いてあったとします。
それは、ありがたいです。
はい、それで、あなたが検認前の遺言書を持って、僕が相続しましたと行ったとしても、銀行では認めてくれないわけです。
そうなんですか?
はい、正式な、遺言書としての手続きが出来ていないということで。
それでも、お願いすることはできないのでしょうか?
はい、どうしても進めたい場合は、相続人全員で遺産分割協議をして、あなたが相続するという書類を持参して受け付けてもらう事になります。
それでも可能なのですね?
はい、これは法定相続をした手続きを踏むので、お父様の遺言書はないのと同じですね。
というと?
遺言書は、書いた本人の意向ですが、その通りに相続を実行するかどうかは相続人全員の判断にもなります。
では
検認があれば、遺言書に相続させると書いてもらった人が、他の相続人の顔色を気にせずに、自分の相続分を自分で受け取ることがきる事にもなります。
なるほど、やはり内容は早く確認したいですね。
そうですね。少し時間がかかるかもしれませんが、一緒に手順よく進めていきいましょう。
はい、焦らずにいきます。よろしくお願いします。
司法書士からの一言アドバイス
自宅で遺言書が見つかった場合には、まずはどの種類の遺言書なのかを確認して下さい。
手書きで封筒に入れたものが見つかった場合は、家庭裁判所の検認が必要だと開封をちょっと待って下さい。
開封したからといって無効になるわけではありません。ただ、開封してしまったことで、余計な疑いがかかって、遺言書の無効訴訟に発展することもありますので、開けないことに越したことはないと認識いただければ幸いです。
自筆で遺言書を書いて残すのは、書く立場は簡単なのですが、残された人にとっては面倒なものです。
できれば元気なうちに、公正証書か、法務局の保管制度制度を利用してもらえると、助かるのですけどね、と検認の手続きを手伝いながら、そう思うのです。
わからないことがあれば、これから遺言書を書くの人、遺言書を見つけた方も、どうぞお問合せくださいませ。