「会社を作りたい」と思ったら、最初に考えること— 司法書士と一緒に、新しい会社をはじめてみたい

山内扶美子
監修者 山内扶美子

「いつか自分の会社を持ちたい」「フリーランスから法人化したい」「家族で運営している事業を、ちゃんと会社の形にしたい」。

そう思い始めた瞬間が、新しい何かの始まりです。

でも、いざ動き出そうとすると、たくさんの言葉が並びます。株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人。資本金、定款、登記、印鑑証明。

調べれば調べるほど、「自分にはどれが合うんだろう?」と迷ってしまう方が多いのではないでしょうか。

このページでは、「会社を作りたい」と思ったときに、最初に考えるとよいこと、そして「司法書士に相談したら、何をしてもらえるのか」を、お話ししていきます。


まず、「何のために会社を作るのか」を言葉にしてみる

技術的な話の前に、いちばん大切なことから始めさせてください。

それは、「何のために会社を作りたいのか」を、自分の言葉で表現してみることです。

  • 自由に仕事をしたいから?
  • 信用を得て、もっと大きな取引をしたいから?
  • 税金面でメリットがあるから?
  • 仲間と一緒に、長く続く何かを作りたいから?
  • 家族の事業を、次の世代へつなげたいから?

理由は人それぞれで、どれが正しいということはありません。けれど、この最初の「なぜ」がはっきりしていると、会社の形態を選ぶときも、定款を作るときも、迷いが少なくなります

逆に、「とりあえず会社にしておこう」で動き出すと、後から「あの形にしておけばよかった」となることがあります。

最初に5分でいいので、「何のために」を考えてみてください。


大切な視点 — 会社を作るのは、ゴールではなくスタート

形態の話に入る前に、もう一つだけお伝えしたいことがあります。

会社を作ることは、ゴールではなくスタートです。設立した後、その会社を続けていくために、毎年・数年ごとにやらなければならないことがあります。

  • 決算と税務申告(毎年)
  • 役員の任期管理と変更登記(数年ごと)
  • 本店や事業目的を変えるときの変更登記
  • 法律改正への対応

会社の形態によって、これらの「続けるために必要なこと」が変わります。

ですから、「設立費用」や「設立のしやすさ」だけで形を選ぶと、後で「こんなに手間がかかるとは思わなかった」と感じてしまうことがあります。


主な法人の形態 — それぞれの特徴と「続けるための仕事」

株式会社

もっとも一般的な形です。「会社」と聞いたとき、多くの方が思い浮かべるのがこの株式会社です。

向いているのは、こんな方

  • 信用力を重視したい(取引先、銀行、採用)
  • 将来的に出資を受け入れる可能性がある
  • 「ちゃんとした会社」というイメージを大切にしたい

メリット

  • 社会的信用が高い:取引先や銀行からの信頼を得やすい
  • 資金調達の選択肢が広い:株式発行による出資受け入れが可能
  • 人材採用で有利:「株式会社」という肩書きは応募者に安心感を与える
  • 事業承継しやすい:株式の譲渡で、次の世代へつなげられる

デメリット・続けるために必要なこと

  • 設立費用が高め:登録免許税や定款認証など、おおむね20〜25万円
  • 役員の任期がある:最長10年。任期が来るたびに変更登記が必要(司法書士費用や登録免許税が発生)
  • 決算公告の義務:毎年、決算を公表する必要がある
  • 役員変更や本店移転のたびに登記:変更があれば2週間以内に登記しないと過料の対象に

「役員の任期管理」は、意外と忘れがちです。「あれ、もう10年経っていた」ということが起きると、登記を怠った期間に応じて過料(罰金)を求められることもあります。私たちが顧問としてお手伝いするのは、こうした「気がつかないうちに過ぎてしまうこと」を、こまめに整理しておくためでもあります。


合同会社

近年、選ばれる方が増えている形です。Apple Japan や Amazon Japan も合同会社、と聞くと意外に思われるかもしれません。

向いているのは、こんな方

  • 設立費用を抑えたい
  • 出資者と経営者が同じ(自分一人、または家族で運営)
  • 信用面を最重視するわけではない事業

メリット

  • 設立費用が安い:株式会社の半分以下、おおむね6〜10万円
  • 定款認証が不要:公証役場での認証手続きを省ける
  • 役員任期がない:任期切れによる変更登記の心配がない
  • 運営の自由度が高い:利益配分などを定款で柔軟に決められる
  • 決算公告の義務がない

デメリット・続けるために必要なこと

  • 社会的認知度がまだ低い:「合同会社って何?」と聞かれることもある
  • 株式による資金調達ができない:大規模な投資受け入れには不向き
  • 代表社員の変更や本店移転は登記が必要(株式会社と同じ)
  • 後から株式会社に変更することは可能:組織変更の手続きが必要

任期がないことの安心感は大きいです。「うっかり登記を忘れていた」というリスクが、株式会社よりは少なくなります。一人で、または家族で運営する場合は、合同会社で十分なケースが多いです。


一般社団法人

「営利を主目的としない」事業に向いた形です。とはいえ、収益事業をしてはいけないわけではありません。

向いているのは、こんな方

  • 業界団体や勉強会、地域コミュニティを運営したい
  • 公益的な活動を、組織として継続させたい
  • 会員制の事業を考えている

メリット

  • 営利目的でなくても法人化できる
  • 公益性のあるイメージ:学会、業界団体、文化活動などに合う
  • 要件次第で、認定制度や税制優遇が受けられる場合がある

デメリット・続けるために必要なこと

  • 設立に最低2人の社員が必要:一人では作れない
  • 役員任期は2年(理事)・4年(監事):短い周期で変更登記が必要
  • 理事の任期管理が、見落とされやすい
  • 収益事業には法人税がかかる:非営利だからといって全部が非課税ではない

一般社団法人は、役員任期が株式会社より短いです。気がつくと「最後の登記から何年も経っていた」ということが起きやすい形です。私たちは、一般社団・財団法人さまには特にきめ細やかに、登記のタイミングをご案内するようにしています。


一般財団法人・NPO法人など

特定の目的のために、財産を活用したり、市民活動を法人化したい方に向いた形です。

要件や手続きが複雑なので、最初に「そもそもこの形が必要なのか」をご相談いただくのが安心です。


形態選びで、迷ったときの3つの問い

「どの形がいいか、結局よくわからない」と感じたら、自分にこの3つを問いかけてみてください。

1. 「お金を借りたり、出資を受けたりする予定はありますか?」

予定があるなら、株式会社が選ばれることが多いです。銀行や投資家からの信用面で有利になります。

2. 「経営者は、自分(と家族)だけですか?」

そうなら、合同会社でも十分なケースが多いです。設立費用を抑えられて、役員任期もないので、運営も柔軟です。

3. 「事業の主目的は、利益ですか? それとも何かを広めたい・支えたいですか?」

後者なら、一般社団法人やNPO法人が選択肢に入ってきます。ただし、役員任期が短いことを念頭に。

これは入口の整理にすぎません。実際には、税金、社会保険、将来の事業承継、家族の関わり方など、いろいろな要素が絡んできます。だからこそ、専門家に相談する価値があります。


司法書士は、何ができる専門家?

「司法書士に相談する」と聞いても、何を頼めるのか、はっきりしない方も多いと思います。

会社設立まわりには、いくつかの専門家が関わります。それぞれの役割を整理してみました。

専門家主な担当領域
司法書士定款の作成、登記の申請、設立後の各種登記(役員変更・本店移転・定款変更など)、議事録の作成
税理士税務申告、決算、節税相談、消費税の判断
社会保険労務士社会保険・労働保険の手続き、就業規則の作成
行政書士許認可申請(建設業・古物商・飲食店など)

つまり、司法書士は「会社を作る」「会社の状態を法務局に正しく登録する」ことの専門家です。

逆に言うと、税金のこと、社会保険のことは、それぞれの専門家にお任せする領域になります。私たちは、必要に応じて信頼できる税理士・社会保険労務士のご紹介もしていますので、安心してご相談ください。


司法書士に依頼すると、こんなことができます

会社設立は、ご自分でやることもできます。インターネットで雛形をダウンロードして、書類を作る方もいらっしゃいます。

それでも司法書士に依頼する価値があるのは、こんなことができるからです。

1. 電子定款で、印紙代4万円を節約できる

紙の定款には4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款なら印紙代がかかりません。ただし、ご自分で電子定款を作るには、マイナンバーカード、ICカードリーダー、Adobe Acrobatなどの専用ソフトが必要です。

司法書士にご依頼いただければ、この機材を準備せずに、印紙代4万円を節約できます。司法書士の報酬を考慮しても、結果的にお安くなることが多いです。

2. 定款を、ご自身の事業に合わせて整える

雛形どおりではなく、ご自身の事業ならではの条文を入れることができます。例えば、株式譲渡制限の付け方、役員任期の決め方、事業目的の書き方。

「将来こうしたい」というお話をうかがいながら、後で困らない定款を一緒に作ります。

3. 法務局や公証役場とのやりとりを代行

公証役場での定款認証、法務局への登記申請、これらすべてを代行できます。ご自身は本業の準備に集中していただけます。

4. 設立後の登記タイミングを管理

ここが、司法書士に長く付き合っていただく最大のメリットです。

会社は設立して終わりではなく、何年にもわたって登記が発生します:

  • 役員の任期切れによる変更登記(株式会社は最長10年、一般社団法人の理事は2年)
  • 本店移転(別の住所に移ったとき)
  • 事業目的の変更(新しい事業を始めるとき)
  • 役員報酬の変更(時には議事録が必要)
  • 定款変更(運営ルールを変えたいとき)

これらのタイミングを、お客様の代わりに管理しています。「あれ、もう任期切れていた」を防ぐのが、私たちの仕事の一つです。

5. 必要な専門家をご紹介

会社運営に必要な、税理士・社会保険労務士・行政書士などを、必要に応じてご紹介します。ワンストップで相談いただけます。


設立後の長いお付き合い、というスタイル

私たち翔栄法務司法書士事務所は、会社設立を「単発の手続き代行」ではなく、「長くお付き合いするご縁の始まり」と考えています。

37年の間に、たくさんの会社設立をお手伝いしてきました。設立して10年、20年とお付き合いが続いている会社さまもいらっしゃいます。

  • 役員任期が来たら、こちらからお声がけ
  • 「事業目的を増やしたい」と相談があれば、すぐ対応
  • 法律改正があれば、お客様にお知らせ
  • 困ったことがあれば、まず電話一本いただく

こんな関係性を、新しく会社を作られる方とも築いていきたいと思っています。


おわりに — 「はじめてみたい」という気持ちを、形にする

会社を作るというのは、書類を整える作業のように見えて、実は「自分の意志を、社会に向けて表明する」ということです。

会社名、事業目的、本店所在地、役員。一つひとつに、その人の願いや、これからやっていきたいことが映ります。

そして、その意志を続けていくために、登記や定款変更、役員管理といった、地道な手続きが続きます。

だから私たちは、「ただ手続きを代行する」のではなく、「その人の新しいはじまりに、ご一緒する」気持ちで、会社設立のお手伝いをしています。設立して終わりではなく、その後も、必要なときに思い出していただける場所でありたい、と思っています。

「会社を作りたい」と思ったその気持ちを、無理なく形にするために。続けていく道のりも、安心して歩んでいただくために。

迷われていることがあれば、まずは無料相談で、お話しから始めませんか?


翔栄法務司法書士事務所

東京都世田谷区北沢4丁目26番1号

TEL: 03-5452-0885

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山内扶美子

執筆者
山内扶美子 / 司法書士

37年の実績と経験であなたを扶(たす)けます。
得意なことは、『相続のご相談』『成年後見』『会社設立登記』です。翔栄法務司法書士事務所は、下北沢、代々木上原、笹塚、世田谷区、渋谷区の相続・成年後見・会社設立のサポートを中心に活動してまいりました。いまでは、全国対応のオンライン相談も積極的に受けております。

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