「相続人申告登記をすればいい」─ 制度の利用は賢明です。でも、これからが本番です。

山内扶美子
監修者 山内扶美子

「相続登記が義務になったけれど、話し合いができていない。でも相続人申告登記という届出をすれば、ひとまず大丈夫なんだ」

そう聞いて、少しほっとされた方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、相続人申告登記という制度を使えば、ひとまず義務化の期限には間に合います。この制度を利用すること自体は、とても賢明な判断です。

ただ、ひとつだけ知っておいていただきたいことがあります。相続人申告登記は、「ゴール」ではありません。「これからが本番」なのです。

相続人申告登記で「終わり」にはならない理由

相続人申告登記は、「わたしは相続人のひとりです」と法務局に届け出る制度です。届出をすれば、相続登記の義務は、ひとまず果たしたことになります。

でも、届出をしても、不動産の名義は亡くなった方のまま。法律上、誰がその不動産の持ち主なのか、まだ決まっていない状態です。

つまり、相続そのものは何も解決していないのです。

届出のあとに待っている「本番」

相続人申告登記のあとにやらなければならないこと。それは、相続人のあいだで「誰がこの不動産を引き継ぐか」を決めて、正式な相続登記を完了させることです。

そして、ここが大事なところですが、この「本番」にも期限があります。遺産分割の話し合いがまとまったら、そこから3年以内に正式な相続登記を申請しなければなりません。

この期限を過ぎると、ふたたび10万円以下の過料の対象になります。

相続人申告登記でせっかく時間をかせいだのに、そのまま放置してしまっては、もったいないのです。

「まだ大丈夫」が一番こわい

「まだ3年ある」「そのうち話し合おう」「急がなくても大丈夫でしょ」——そう思う気持ちは、よくわかります。

でも、相続の手続きは、時間が経つほど難しくなる性質があります。

相続人が高齢になって、判断能力が衰えてしまうかもしれない。相続人のどなたかが亡くなって、さらにその方の相続人が増えてしまうかもしれない。疎遠になっている相続人と、ますます連絡が取りにくくなるかもしれない。

5年後、10年後に動こうとしたら、「あのとき進めておけばよかった」と思うケースを、わたしたちは何度も見てきました。

相続人申告登記でかせいだ時間は、「先延ばしにするための時間」ではなく、「準備を進めるための時間」です。

話し合いが難しいときは、第三者の力を

相続人申告登記を検討される方の多くは、すぐには話し合いができない事情をお持ちだと思います。

遠方に住んでいて会えない。長い間、連絡を取っていない。相続人が誰なのか、はっきりしない。気持ちの面で、まだ難しい。

そんなとき、第三者である司法書士が間に入ることで、話が動き出すことがよくあります。

「兄弟で直接話すと感情的になるけれど、司法書士さんを通したら冷静に進められた」

「疎遠だった親戚に事務所から手紙を出してもらったら、返事が来た」

「相続人が誰かわからなかったけれど、戸籍を調べてもらって全員が判明した」

おひとりで抱え込まなくても、大丈夫です。

手続きが終わったあとの景色

遺産分割がまとまって、正式な相続登記が完了すると、不動産は「あなたのもの」になります。そうすると、選択肢が広がります。

ご実家を売却して、これからの暮らしの資金にあてられます。空き家の管理から解放されて、気持ちが軽くなります。リフォームして賃貸に出せば、収入を得ることもできます。お子さんやお孫さんに、すっきりした状態で引き継げます。

名義が決まっていない不動産は、何もできない不動産です。でも、名義が整えば、その不動産は「これからの可能性」に変わります。

相続人申告登記は、その可能性に向かう第一歩。次の一歩を、踏み出してみませんか。

まずはご相談ください

「相続人申告登記をしようと思っている」「届出はしたけれど、そこから進んでいない」「何から手をつけたらいいかわからない」——どの段階でも構いません。

今の状況をお聞かせいただければ、何をどの順番でやればいいか、一緒に整理いたします。相続人の調査、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、登記の申請まで、まとめてお任せいただけます。

「止まっていたものが、動き出した」。そう感じていただけるよう、37年の経験で、あなたを支えます。

翔栄法務司法書士事務所
TEL:03-5452-0885

山内扶美子

執筆者
山内扶美子 / 司法書士

37年の実績と経験であなたを扶(たす)けます。
得意なことは、『相続のご相談』『成年後見』『会社設立登記』です。翔栄法務司法書士事務所は、下北沢、代々木上原、笹塚、世田谷区、渋谷区の相続・成年後見・会社設立のサポートを中心に活動してまいりました。いまでは、全国対応のオンライン相談も積極的に受けております。

相談はこちら

電話・メール・Zoom・来所、お好きな方法をお選びください。
初回30分は無料です。

相談方法を見る