不動産のみつけかた

山内扶美子
監修者 山内扶美子

「父がどんな不動産を持っていたのか、正確にはわからないのです」

相続のご相談で、本当によくうかがう言葉です。ご自宅はわかっていても、郷里の山林や畑、家の前の私道の持分などは、ご家族も知らないまま……ということが珍しくありません。

2024年4月から相続登記が義務化され、見落とした不動産があると、あとから登記のやり直しや過料の心配が出てきます。この記事では、亡くなった方の不動産を漏れなく探す4つの方法を、新しい制度も含めてご紹介します。

方法1|固定資産税の課税明細書を探す(まずはここから)

毎年4〜6月ごろ、市区町村(東京23区は都)から届く固定資産税の納税通知書に、「課税明細書」が同封されています。ここに、その自治体内で課税されている不動産が一覧で載っています。亡くなった方の郵便物や書類の中から、まずこれを探してください。

注意点:課税明細書に載るのは「固定資産税がかかっている不動産」だけです。評価額が低く非課税になっている土地や、私道の持分などは載らないことがあります。また、届くのはその自治体の分だけですので、他の市区町村にある不動産はわかりません。

方法2|権利証(登記識別情報)を探す

ご自宅の金庫や引き出しに、「登記済権利証」や「登記識別情報通知」と書かれた書類が保管されていないか探してみてください。不動産を取得したときに法務局から交付されるもので、これが見つかれば、その不動産の所在や地番が正確にわかります。

司法書士事務所の名前が入った表紙のファイルにまとまっていることが多いです。見つかった場合は、そのまま大切に保管して、相続のご相談時にお持ちください。

方法3|名寄帳(なよせちょう)を請求する

名寄帳とは、「その自治体内で、ある人が所有している不動産の一覧表」です。相続人であれば、戸籍などで相続人であることを証明して請求できます。

  • 東京23区の場合:不動産のある区を管轄する都税事務所に請求します
  • 23区以外の場合:不動産のある市区町村役場(資産税課など)に請求します

実務上の大切な注意点:名寄帳は、ひとりで所有している不動産と、共有の不動産が別々に管理されています。「単独所有分」だけ請求すると、共有の不動産(私道の持分など)が漏れてしまいます。請求の際は、必ず「単独所有分と共有分の両方をお願いします」と伝えてください。一度にすべてが取れるわけではありませんが、この点に気をつければ、かなりの確率で所有不動産を見つけることができます。

もうひとつの限界は、名寄帳も「その自治体の分だけ」しかわからないことです。「郷里にも土地があったかもしれない」という場合、心当たりのある自治体ごとに請求する必要がありました。──この「自治体ごとの壁」を取り払うのが、次の新しい制度です。

方法4|【2026年2月開始】所有不動産記録証明書を取得する

2026年(令和8年)2月2日から、所有不動産記録証明制度が始まりました。法務局に請求すると、登記上の名義をもとに、亡くなった方が全国で所有していた登記済みの不動産を検索し、一覧の証明書として交付してもらえる制度です。

これまで自治体ごとに名寄帳を集めるしかなかった調査が、全国分を一括で調べられるようになりました。しかも、全国どこの法務局でも請求できますので、遠方の不動産のために現地へ出向く必要はありません。窓口・郵送のほか、オンラインでの請求もできます。

手数料:検索条件1件につき、証明書1通あたり書面請求で1,600円(オンライン請求は受け取り方法により1,500円または1,470円)です。

これは便利、という点:固定資産税が非課税の私道や山林なども、登記さえされていればリストに載ります。課税明細書ではわからなかった不動産が見つかることがあります。

ただし、万能ではありません:検索は「登記簿上の氏名・住所」との一致で行われます。亡くなった方が引っ越しや結婚のあとに住所・氏名の変更登記をしていなかった場合、古い住所・旧姓のままの不動産は検索から漏れます。その場合は、戸籍の附票などの資料を添えて、昔の住所や旧姓も検索条件に加えて請求する必要があります。ここは少し専門的な判断が要るところですので、心配な方はご相談ください。

4つの方法、どう使い分ける?(司法書士のおすすめ手順)

  1. まず課税明細書権利証を家の中で探す(費用ゼロ・すぐできる)
  2. 次に所有不動産記録証明書で全国分をまとめて確認する
  3. 変更登記がされていない古い不動産がありそうなら、心当たりの自治体の名寄帳(単独+共有の両方)で補完する

この順番で調べれば、見落としはかなり防げます。当事務所に相続登記をご依頼いただく場合は、この不動産調査もまとめてお引き受けしています。

不動産が見つかったら:相続登記はお早めに

2024年4月から相続登記は義務化されており、昔の相続分は2027年3月31日が期限です。せっかく見つけた不動産をそのままにせず、早めに名義変更まで済ませてしまいましょう。くわしくは「相続登記の義務化とは?期限・過料10万円・今からやるべきこと」の記事をご覧ください。

「探し方から手伝ってほしい」という段階でのご相談も歓迎です。30分の無料相談をどうぞお気軽にご利用ください。

山内扶美子

執筆者
山内扶美子 / 司法書士

37年の実績と経験であなたを扶(たす)けます。
得意なことは、『相続のご相談』『成年後見』『会社設立登記』です。翔栄法務司法書士事務所は、下北沢、代々木上原、笹塚、世田谷区、渋谷区の相続・成年後見・会社設立のサポートを中心に活動してまいりました。いまでは、全国対応のオンライン相談も積極的に受けております。

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