相続登記の義務化とは?期限・過料10万円・今からやるべきことを司法書士が解説

山内扶美子
監修者 山内扶美子

「親名義のままの実家、そのままになっていませんか?」

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記は「やってもやらなくてもよい手続き」ではなく、法律上の義務になりました。しかも、昔の相続もさかのぼって対象です。

この記事では、経験37年の司法書士が、義務化のルールと「ご自分の期限」の調べ方、間に合いそうにないときの応急措置、そして知らないと損をする免税措置まで、順番にわかりやすくお伝えします。読み終わるころには、いま何をすればよいのかがはっきりします。

相続登記の義務化とは(30秒でわかる要約)

ポイントを説明するふみチュウ

いつから2024年(令和6年)4月1日
何をする不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する
しないと正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがある
昔の相続は対象です。2024年4月1日より前の相続は、2027年(令和9年)3月31日が期限

過料とは、行政上のペナルティとして支払いを命じられるお金のことです。前科がつく「罰金」とは違いますが、支払いの負担が生じることに変わりはありません。

【重要】過去の相続も対象です──あなたの期限はいつ?

「義務化の前に相続したから関係ない」と思われがちなのですが、ここがいちばんの注意点です。何十年前の相続でも、名義変更が済んでいなければ義務化の対象になります。

ご自分の期限は、次のように考えてください。

  • 2024年4月1日より前に相続した(または相続を知った)場合
    → 期限は 2027年(令和9年)3月31日
  • 2024年4月1日以降に相続した場合
    → 「不動産を相続したことを知った日」から 3年以内

たとえば「20年前に父が亡くなり、実家が父名義のまま」という方は、前者にあたります。期限は2027年3月31日ですから、実はもうあまり時間がありません。戸籍集めや相続人同士の話し合いには数か月かかることも珍しくないため、思い立った今が始めどきです。

「正当な理由」があれば過料にならない場合もあります

期限を過ぎたら即ペナルティ、というわけではありません。法務局が「正当な理由がある」と認める場合には、過料の対象になりません。たとえば次のようなケースです。

  • 相続人が非常に多く、戸籍の収集や相続人の把握に時間がかかっている
  • 遺言の有効性や遺産の範囲について争いがある
  • 相続人ご自身が重い病気などの事情を抱えている

一方で、「忙しかった」「制度を知らなかった」は正当な理由にはなりません。また、過料の前には法務局から催告(お知らせ)が届く運用ですので、法務局からの通知を無視しないことも大切です。

期限に間に合いそうにないとき:相続人申告登記という応急措置

「遺産分割の話し合いがまとまらない」「相続人が多くて手続きが進まない」という場合のために、相続人申告登記という簡易な制度が用意されています。

これは、「私は相続人のひとりです」と法務局に申し出ておく手続きです。この申出をしておけば、遺産分割がまとまっていなくても、義務を果たしたことになります。戸籍も、ご自分が相続人であるとわかる範囲のもので足り、他の相続人の協力も不要です。

ただし、注意点があります。相続人申告登記は名義変更ではありません。この状態では不動産を売ることも、担保に入れることもできません。あくまで「過料を避けるための応急措置」であって、根本的な解決は相続登記です。遺産分割がまとまったら、そこから3年以内に、あらためて相続登記の申請が必要です。

相続登記にかかる費用

費用は大きく3つに分かれます。

  • 登録免許税(国に納める税金):固定資産税評価額 × 0.4%
    例:評価額3,000万円の不動産なら12万円
  • 実費:戸籍・住民票・評価証明書などの取得費用
  • 司法書士報酬:ご依頼いただく場合の手数料

総額のモデルケースは報酬等の目安のページにまとめていますので、あわせてご覧ください。

知らないと損する免税措置(2027年3月31日まで)

登録免許税には、期間限定の免税措置があります。令和7年度の税制改正で、適用期限が2027年(令和9年)3月31日まで延長されました。次の2つの場合、土地の登録免許税がかかりません。

① 相続した方が、登記をしないまま亡くなっている場合
たとえば、おじい様名義の土地をお父様が相続したものの、登記をしないままお父様も亡くなったケース。この場合、亡くなったお父様の名義にするための登記は免税になります。

② 土地の評価額が100万円以下の場合
固定資産税評価額が100万円以下の土地は、相続登記の登録免許税が免税です。地方の山林や田畑、私道の持分などで使えることが多い制度です。持分を相続する場合は「土地全体の評価額×持分」で判定しますので、たとえば評価額150万円の土地の持分2分の1なら75万円となり、免税の対象です。

ひとつ、実務上の大切な注意点があります。この免税は、登記申請書に根拠条文(租税特別措置法第84条の2の2)を記載しないと受けられません。書き忘れると、本来払わなくてよい税金を納めることになってしまいます。なお、2026年4月1日に条文番号が変わったため(旧・第84条の2の3)、古い情報のままの解説記事も見受けられます。ご自分で申請される方はご注意ください。

義務化の期限(2027年3月31日)と免税措置の期限が同じですから、「どうせやるなら、免税が使える今のうちに」というのが正直なおすすめです。

相続登記の流れ(5つのステップ)

  1. 戸籍の収集──亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて集めます。転籍や結婚で複数の市区町村にまたがることが多く、ここが最初の壁です
  2. 相続人の確定──戸籍をもとに、法律上の相続人を確定します
  3. 遺産分割協議──相続人全員で「誰がその不動産を引き継ぐか」を決め、協議書を作成します(遺言がある場合は遺言に従います)
  4. 申請書類の作成──登記申請書、相続関係説明図などを作成します
  5. 法務局へ申請──不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。完了まで1〜2週間ほどです

ご自分で申請することも可能です。ただ、戸籍の収集と読み解き、そして遺産分割協議書の文言は、間違えるとやり直しになりやすい部分です。平日に法務局や役所とやり取りする時間が取れない方は、司法書士にまとめてお任せいただくほうが結果的に早く、確実です。

よくあるご質問

Q. 実家が地方にあるのですが、東京の司法書士に依頼できますか?

できます。登記はオンラインで全国の法務局に申請できますので、不動産がどちらにあってもお受けできます。当事務所もZoomでのオンライン相談で全国に対応しています。

Q. 誰が相続するか、まだ決まっていません。

まずは相続人申告登記で義務を果たしておき、話し合いを進める方法があります。話し合いの進め方自体も、公平な第三者としてお手伝いできますので、決まっていない段階でご相談ください。

Q. 亡くなった親がどんな不動産を持っていたのか、わかりません。

固定資産税の課税明細書、名寄帳の取得、2026年2月に始まった所有不動産記録証明書など、調べる方法がいくつかあります。くわしくは「亡くなった親の不動産の探し方4つ」の記事をご覧ください。

Q. 引っ越したときの住所変更も義務になったと聞きました。

はい。2026年(令和8年)4月1日から、登記名義人の住所・氏名の変更登記も義務化されました。変更から2年以内に申請しないと、5万円以下の過料の対象になることがあります。相続登記のご相談の際に、あわせて確認いたします。

まとめ──「何から手をつければいいかわからない」段階で大丈夫です

相続登記の義務化のポイントを、もう一度だけ。

  • 相続を知った日から3年以内。昔の相続は2027年3月31日まで
  • 間に合わないときは相続人申告登記という応急措置がある
  • 2027年3月31日までは登録免許税の免税措置が使える場合がある

私はこの37年間、3万人以上の方の登記や相続のご相談に関わってきました。ご相談に来られる方のほとんどは、「何から手をつければいいかわからない」という段階でいらっしゃいます。それでまったく構いません。

30分の無料相談で、あなたの場合の期限と、必要な手続き、費用の見通しをお伝えします。どうぞお気軽にご利用ください。

山内扶美子

執筆者
山内扶美子 / 司法書士

37年の実績と経験であなたを扶(たす)けます。
得意なことは、『相続のご相談』『成年後見』『会社設立登記』です。翔栄法務司法書士事務所は、下北沢、代々木上原、笹塚、世田谷区、渋谷区の相続・成年後見・会社設立のサポートを中心に活動してまいりました。いまでは、全国対応のオンライン相談も積極的に受けております。

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