
「遺言書とは何ですか。わかりやすく教えてください」
そう聞かれることがあります。
教科書どおりに答えるなら、こうなります。遺言書とは、自分が亡くなったあとに、財産をどう分けるか、子どもの養育をどうするか、葬儀をどうするか——そうした、自分の死後に行われることについて、指示を残しておく書類です。法律に基づいて認められていて、書かれた内容は、きちんと尊重されます。
——と、一般的にはそう説明します。
けれど、司法書士として長く相続に関わってきた者として、ほんとうのところを一言で言わせていただくと、
遺言書は、残された人のためのものです。
それに尽きると思っています。
自分にもしものことがあったとき、残された人が、時間的にも、気持ちのうえでも、大変な思いをしなければならない。それを考えるだけで、かわいそうになります。
だって、亡くなってしまったあとは、もう何もしてあげられないのです。「ああしてほしい」と指示することも、「こうするといいよ」とアドバイスすることも、困っている家族に手を貸すことも、できません。
遺言書は、その「もう何もできなくなったあと」のために、今のうちに残しておける、たった一つの手立てです。
「うちは大した財産がないから」とおっしゃる方もいます。けれど、遺言書は財産の多い少ないの話ではありません。残された人が、迷わず、もめずに、すこやかに前を向けるように。そのための、いちばん優しい準備なのです。
「ちょっと考えてみようかな」で十分です
遺言書と聞くと、身がまえてしまうかもしれません。でも、最初から完璧なものをつくる必要はありません。
「そろそろ考えてみようかな」
「すすめてみようかな」
「具体的には、どうしたらいいのかな」
そう思われたら、それがはじめの一歩です。どうぞ一度、ご相談ください。あなたとご家族にとって、いちばん良い形を、一緒に考えます。
