相続が発生したら最初にすること ─ あわてなくて大丈夫。ひとつずつ進めましょう

大切な方が亡くなったとき、悲しみのなかで「何をすればいいのだろう」と途方に暮れてしまう方は少なくありません。葬儀のあわただしさが過ぎて、ふと我に返ったとき、「相続の手続き」という大きな課題が目の前にあることに気づく——。

でも、あわてなくて大丈夫です。すべてを一度にやる必要はありません。ひとつずつ、順番に進めていけばいいのです。このページでは、相続が発生したあとに何をすればいいのか、やるべきことの全体像と順番を整理してお伝えします。

まず最初の1〜2週間でやること

亡くなってすぐの時期は、相続の手続きよりも先に、届出や事務的な手続きがあります。

【死亡届の提出】
亡くなったことを知った日から7日以内に、市区町村の役所に届け出ます。多くの場合、葬儀社が代行してくれます。

【年金の届出】
亡くなった方が年金を受給していた場合、年金事務所に届け出ます。届出が遅れると、過払いになった年金をあとから返さなければならなくなることがあります。

【健康保険・介護保険の届出】
保険証の返却や資格喪失届を、市区町村や健康保険組合に届け出ます。

遺言書があるか確認する

少し落ち着いたら、まず確認していただきたいのが「遺言書があるかどうか」です。遺言書があるかないかで、そのあとの手続きの流れが大きく変わります。

遺言書を作成された方は、生前にご家族のどなたかに「遺言書を作ってある」と伝えていることが多いものです。配偶者やお子さん、信頼していた方に、「遺言書のことを聞いていない?」と確認してみてください。

遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、法務局の保管制度を利用した遺言など、いくつかの種類があり、見つかったあとの対応がそれぞれ異なります。詳しくは別のページでご案内しますので、まずは「あるか、ないか」の確認を最優先にしてください。

遺言書の種類と、見つかったときの対応

相続人を確定する ── いちばん大切なステップ

相続の手続きで最も重要なのは、「相続人が誰なのか」を確定させることです。不動産の登記も、預貯金の解約も、あらゆる手続きの出発点は「この人たちが相続人です」という証明です。そして、その証明は「戸籍」でしか行えません。

【必要な戸籍】
亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)を集める必要があります。これによって、法律上の相続人が誰なのかを漏れなく確認できます。あわせて、相続人ひとりひとりの現在の戸籍謄本も必要です。

【死亡の記載が反映されるまで、少し時間がかかります】
亡くなったあと、すぐには戸籍に死亡の記載が反映されません。死亡届を提出してから、戸籍に反映されるまでに数日〜数週間かかることがあります。「すぐに戸籍を取りに行ったのに、まだ死亡が載っていなかった」ということがありますので、少し時間をおいてから請求するのがよいでしょう。

【戸籍は全国どこでも取り寄せられます】
2024年3月から、戸籍の「広域交付」制度が始まりました。これまでは本籍地の市区町村にしか請求できなかった戸籍が、最寄りの市区町村の窓口でまとめて取り寄せられるようになっています。亡くなった方の本籍地が遠方でも、お住まいの近くの役所で手続きできますので、以前よりもずいぶん楽になりました。

ただし、広域交付で取得できるのは本人、配偶者、直系の方(親・子・孫など)の戸籍に限られます。兄弟姉妹の戸籍などは、従来どおり本籍地への請求が必要な場合があります。

【想像以上に大変な作業です】
戸籍の収集は、思った以上に手間のかかる作業です。本籍地が何度も変わっていたり、古い戸籍が手書きで読みにくかったり、思いがけない相続人が見つかることもあります。前婚のお子さんがいた。養子縁組をしていた。認知した子がいた——こうしたケースは、戸籍を調べて初めてわかることがあります。

「全部集めるのは大変そうだな」と思われたら、どうぞ司法書士にご相談ください。戸籍の収集から相続関係の整理まで、お手伝いいたします。

相続財産を把握する

相続人がわかったら、次は「何を相続するのか」を把握します。相続財産には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金など)も含まれます。

【プラスの財産】
不動産(土地、建物、マンション)/預貯金/有価証券(株式、投資信託など)/生命保険金(受取人が指定されているもの)/自動車/貴金属、美術品/その他の権利

【マイナスの財産】
住宅ローンの残債/カードローン、キャッシング/未払いの税金/未払いの医療費/保証債務(誰かの連帯保証人になっていた場合)

通帳、証券口座の明細、固定資産税の納税通知書、届いている郵便物などを手がかりに、ひとつずつ調べていきます。不動産の探し方は、こちらの記事でくわしくご案内しています。

亡くなった親の不動産の探し方4つ

相続放棄を考える場合は、期限に注意

相続財産を調べた結果、マイナスの財産のほうが多い場合は、「相続放棄」を選ぶことができます。ただし、相続放棄には期限があります。自分が相続人であることを知った日から「3か月以内」に、家庭裁判所に申述する必要があります。この期限はとても短いです。

「まだ調べている途中なのに……」という場合は、家庭裁判所に期間の延長を申し立てることもできますが、早めの判断が大切です。相続放棄をするかどうか迷っている方は、できるだけ早くご相談ください。

遺産分割協議を行う

遺言書がない場合(遺言書がある場合は、原則としてその内容が優先されます。ただし事情により、相続人全員の合意で遺言書と異なる分け方をすることもあります)は、相続人全員で話し合って、誰が何を相続するかを決めます。これが「遺産分割協議」です。

話し合いがまとまったら、「遺産分割協議書」を作成します。相続人全員が署名し、実印を押印します。この協議書は、不動産の登記や、預貯金の解約など、あらゆる手続きで必要になる大切な書類です。

話し合いが難しい場合は、司法書士が間に入ってお手伝いすることもできます。

各種の名義変更・届出を行う

遺産分割がまとまったら、いよいよ具体的な手続きに入ります。

【預貯金の解約・名義変更】
金融機関ごとに手続きが必要です。戸籍謄本や遺産分割協議書など、金融機関が求める書類を揃えて提出します。

【有価証券の名義変更】
証券会社に連絡して手続きします。

【相続税の申告】
相続財産が基礎控除額を超える場合は、亡くなった日から10か月以内に税務署に申告・納付が必要です(基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数)。

【公共料金・クレジットカードなどの届出】
電気、ガス、水道、電話、インターネットなど、亡くなった方の名義になっているものは、本人の口座が閉鎖されたら引き落としができなくなるので、名義変更が必要です。これらは相続とは直接関係ないものもありますが、早めに対応しておくと、あとが楽になります。

【自動車の名義変更】
運輸支局で手続きします。

【不動産の相続登記】
法務局に申請して、名義を変更します。相続登記は義務化されており、3年以内に申請が必要です。昔の相続で名義変更がまだの不動産は、多くの場合2027年3月31日が期限です。
→ くわしくは「相続登記の義務化とは?期限・過料10万円・今からやるべきこと」をご覧ください。

全体の流れをまとめると

  1. 死亡届・年金・保険の届出(1〜2週間)
  2. 遺言書の有無を確認
  3. 相続人の確定(戸籍の収集)
  4. 相続財産の把握
  5. 相続放棄の判断(3か月以内)
  6. 遺産分割協議
  7. 不動産の相続登記(3年以内)
  8. 預貯金・有価証券等の名義変更
  9. 相続税の申告(10か月以内)

期限があるものは、5の相続放棄(3か月)、9の相続税申告(10か月)、7の相続登記(3年)です。特に相続放棄の3か月は短いので、早い段階で相続財産の全体像をつかんでおくことが大切です。

ひとりで抱え込まないでください

ここまで読んで、「やることが多すぎる……」と感じた方もいらっしゃると思います。大丈夫です。全部をおひとりでやる必要はありません。

わたしたちは司法書士として、相続人の調査、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、不動産の登記申請まで、一連の手続きをお手伝いしています。

「まず何をすればいいですか?」——その一言から始めていただければ、今の状況に合わせて、やるべきことと優先順位を一緒に整理いたします。

大切な方を亡くされた悲しみのなかで、手続きのことまで考えるのは本当に大変なことです。だからこそ、頼れるところは頼っていただきたい。38年の経験で、あなたの負担を少しでも軽くできるように、お手伝いいたします。

翔栄法務司法書士事務所
TEL:03-5452-0885

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